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横浜地方裁判所 昭和62年(わ)1320号 判決

本店所在地

横浜市中区野毛町二丁目八七番地

モナコ商事株式会社

(右代表者代表取締役 北川八重子)

本籍

横浜市中区野毛町二丁目八七番地

住居

同市同区山手町二〇五番地

会社役員

北川八重子

大正一三年九月三〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中嶋三雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社モナコ商事株式会社を罰金五〇〇〇万円に、被告人北川八重子を懲役一年二月に各処する。

被告人北川八重子に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社モナコ商事株式会社は、横浜市中区野毛町二丁目八七番地に本店を置き、遊技場の経営等を営んでいるもの、被告人北川八重子は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括するものであるが、被告人北川は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどのの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五八年六月一日から同五九年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億五五八二万二三〇一円であったにもかかわらず、同五九年七月三一日、横浜市中区山下町三七番地九号所在の横浜中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二四八万七九三四円でこれに対する法人税額が八六八万一六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六六四一万五七〇〇円と右申告税額との差額五七七三万四一〇〇円を免れた

第二  昭和五九年六月一日から同六〇年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二億五三四七万〇八七二円であったにもかかわらず、同六〇年七月三一日、前記横浜中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五〇七六万五一一八円で、これに対する法人税額が二〇九八万〇四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一億〇八七五万一六〇〇円と右申告税額との差額八七七七万一二〇〇円を免れた

第三  昭和六〇年六月一日から同六一年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二億一五〇七万四一三三円であったにもかかわらず、同六一年七月三一日、前記横浜中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六四五九万五六六三円でこれに対する法人税額が二六六七万〇九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額九一八二万八三〇〇円と右申告税額との差額六五一五万七四〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  登記簿謄本三通(甲2から4)

一  横浜中税務署長作成の法人税の納付状況照会に対する回答書

一  神奈川県横浜県税事務所作成の税の納付状況照会に対する回答書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書説明資料」と題する書面

一  大蔵事務官作成の現金調査書、普通預金調査書、積立定期預金調査書、定期預金調査書、定額郵便貯金調査書、未収金調査書、未収利息調査書、過払源泉税調査書、代表者勘定調査書、積立保険金調査書、器具備品調査書、未払源泉税調査書、未納事業税調査書、申告書計算誤謬調査書、

一  北川昇司の大蔵事務官及び検察官に対する各供述調書

一  森久義の大蔵事務官及び検察官に対する各供述調書

一  塩見洋造の大蔵事務官に対する供述調書

一  荻野能弘の大蔵事務官に対する供述調書

一  被告人北川八重子の大蔵事務官及び検察官に対する各供述調書

一  被告会社代表者兼被告人北川八重子の当公判廷における供述

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲9)

一  大蔵事務官作成の減価償却額の当期認容額調査書、過年度雑収入計上もれ認容調査書

一  大蔵事務官作成の法人税額計算書(甲46)

一  押収してある法人税確定申告書(昭和六二年押第三九一号の1)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲10)

一  大蔵事務官作成の法人税額計算書(甲47)

一  押収してある法人税確定申告書(前同号の2)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲11)

一  大蔵事務官作成の法人税額計算書(甲48)

一  押収してある法人税確定申告書(前同号の3)

(法令の適用)

一  罰条 被告会社の判示各所為につき法人税法一五九条一項、二項、一六四条

被告人北川八重子の判示各所為につき法人税法一五九条一項

一  刑種の選択 被告人北川八重子の判示各罪につき各懲役刑選択

一  併合罪の処理 被告会社につき刑法四八条二項

被告人北川八重子につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をする。)

一  執行猶予 被告人北川八重子につき刑法二五条一項

(裁判官 森眞樹)

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